Generating Sound & Organizing Time
by Graham Wakefield & Gregory Taylor
Generating Sound & Organizing Timeは、デジタルオーディオをサンプル単位の最小構造から扱うことで、どれほど驚くべきことが実現できるのか、そしてどのような新たな発見が得られるのかを探る一冊です。
音楽制作やサウンドデザイン、オーディオの生成や変調を行うツールの制作に興味を持つすべてのクリエイターに向けて、本書ではサンプルレベルで扱うことが、デジタルオーディオ信号処理の仕組みを理解しやすいだけでなく、そのブラックボックスの内部を解き明かし、計り知れない可能性を引き出すための、より開かれたアプローチであることを明らかにします。
そのために本書ではgen~を使用します。gen~を使えば、ビジュアルパッチング(もちろん、コードを書くことを好む方はコーディングでも構いません)によってサンプルレベルで直接作業を行い、編集するたびにその結果をすぐに聴くことができます。つまり、多くの音楽制作ソフトウェアではブラックボックス化されていて内部を見ることのできないオシレーターやフィルター、オーディオエフェクトなどのアルゴリズムを解き明かし、試行錯誤や組み合わせを通して、自分だけのバリエーションを探究できるということです。
本書では、新たな音楽信号処理を生み出すために役立つ、設計パターンやテクニック、サブサーキットといった「考えるための道具」を身につけることも目指します。本書では、複雑な数式やコードに頼らず、最も基本的なところから始めて、一見すると無関係に思える数多くのシンセシスや音響処理のアルゴリズムが、実はごく少数の共通する回路や設計パターンを、異なる形で応用したものにすぎないことを見ていきます。その過程で、次のようなものを作り上げていきます。
- アルゴリズムによるリズムジェネレーター、ビートスライサー、ユークリッドシーケンサー
- モーフィングLFO、ウェーブシェーパー、ビットクラッシャー、グライディングクオンタイザー
- カオスシステム、ステップノイズやスムーズドノイズ、ランダム処理
- 多彩なフィルターとディレイエフェクト
- 豊富な位相変調(PM)および周波数変調(FM)アルゴリズム
- さまざまな種類のフォルマントシンセサイザー、パルサーシンセサイザー、ポリフォニックグラニュラーシンセサイザー
- 高度なモジュレーションに対応した帯域制限付きバーチャルアナログオシレーターとウェーブテーブルオシレーター
……さらに、本書にはこれらをはじめとする数多くのパッチング例を収録しています。
書評
本書は、あらゆるレベルの作曲家やミュージシャン、サウンドデザイナー、そして実験的な表現に取り組むクリエイターに向けて、コンピュータ音楽の技法への理解を深め、そのブラックボックスを解き明かす新たな視点を与えてくれます。さらに、低レベル信号処理について、美しいほど簡潔で、気取らず、親しみやすく学べる優れた入門書でもあります。 GrahamとGregoryによる本書は、オーディオをサンプル単位の数値の流れという最も基本的なレベルから扱うための深い洞察を与えてくれるだけでなく、そのアプローチをこれからも実践し続けたいという意欲まで掻き立ててくれます。
R. Luke DuBois ニューヨーク大学タンドン工学部 統合デザイン・メディア学科 准教授
本書は、深い技術的知識と卓越した芸術性を兼ね備えた二人の著者が生み出した、さまざまな概念やアイデア、そしてすぐに活用できる実践的なテクニックを巡る、魅力あふれる旅へと読者を誘います。本書は、Maxに秘められた強力な機能であるgen~によって、どれほど多くのことが実現できるのかを教えてくれます。あなたがこれから発明しようと思っているものも、実はすでにこの本の中にあるかもしれません。
Robert Henke
本書は、サンプル単位のデジタル信号処理が持つ可能性を、明快かつ深い洞察によって鮮やかに照らし出しています。本書が到達する深い考察と、そこからあらゆる方向へ広がる発想は、プログラミングだけでなく、音楽を構成するあらゆる要素を生み出すためのアイデアやアプローチにおいても、ミクロとマクロの両面から視野を広げてくれます。すべてのMaxユーザーはもちろん、デジタル信号処理への理解を深めたい人にとっても必携の一冊です。
Jim O'Rourke
投稿者情報
Graham Wakefieldは、カリフォルニア大学サンタバーバラ校の博士課程在学中に、gen~の主要な開発者を務めました。現在はヨーク大学のAlice Labを率いる准教授兼カナダ・リサーチチェアとして、コンピュータ音楽、ライブコーディング、電子芸術、複合現実にまたがる研究成果を、学術誌や国際会議で発表しています。また、Haru Jiとともに、生物から着想を得た没入型のArtificial Nature作品を制作しており、その作品は、カールスルーエのZKMやパリのla Gaîté Lyriqueなどで展示されています。
Gregory Taylorは、Step by Step Max/MSPで学ぶシーケンス・アドベンチャーの著者で、 Cycling '74でコンテンツの制作・編集を担当しています。ビジュアルアーティストとして教育を受け、アメリカおよびオランダで中部ジャワのガムランと電子音響音楽を学びました。また、WORT-FMで現代音響作品を紹介するラジオ番組のパーソナリティも務めています。これまでの作品は、Palace of Lights、c74、Clang、Nachtstück、Flood、Spectropol、Stasisfield、ARTlevelなどのレーベルからリリースされています。